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2017 Vol.2 – Positioning of MEMS in IoT

IoT世界の中でMEMSをどのように位置づけるか               パネルディスカッションで議論

MEF2017実行委員会 副委員長/SPPテクノロジーズ株式会社 エグゼクキュティブシニアアドバイザー  神永 晉

 昨今、俄かに注目を浴びるIoT (Internet of Things:モノのインターネット) の世界のもとで、インダストリー4.0、インダストリアル・インターネット、そしてトリリオン・センサのような大きな動きが見られますが、それらを可能としたのは、ここ20数年にわたって目覚ましい発展を見せているMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)に他なりません。

 独Robert Bosch社の発明したボッシュ・プロセスに基づくシリコン深掘り技術 (DRIE:Deep Reactive Ion Etching) が、住友精密工業傘下の英Surface Technology Systems社(現、英SPTS Technologies社)において、世界最初のDRIE装置として市場に導入された1995年以降、多くのMEMSデバイスが出現しました。自動車用各種センサ、インクジェットプリンタ用ノズル・アクチュエータ・リザーバ、ディスプレーのピクセルなどで実用化され、さらに、ゲーム機用加速度センサ、スマートフォン用加速度センサ・ジャイロ・マイクロフォン等々、広範囲に使用されるとともに、その数量も飛躍的に増大しました。その中でも、MEMSセンサの発展は著しく、その特質を生かしたワイヤレス・センサ・ネットワークが、広汎な応用分野に展開されています。省エネルギー、代替エネルギー、社会インフラ、環境保全、安全・安心社会、ヘルスケア、バイオメディカルなどの分野での応用が拡大しつつあり、IoT世界においてMEMSが益々重要な役割を担うことが期待されています。

 IoT世界の中で大きな動きを見せる、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットが、主として製造業のサービス業化を意図している一方で、トリリオン・センサは、年間1兆個のセンサを使用する社会を10年後の2020年代半ばに実現することを目指し、2013年に米国でスタートしました。それは、ほぼ20年後に到来するとされている、飢えがなく、医療が行き渡り、汚染がなく、クリーン・エネルギーの享受が、すべての人にとって可能となる理想の世界、Abundanceへの道筋として、位置付けられています。

 医療・ヘルスケア/農業/環境/社会インフラなどのあらゆる部分がセンサで覆われ、ネットワークに接続されることによって、地球規模の多くの課題が解決できるとされるその世界は、8種類の指数関数的テクノロジー(バイオテクノロジー、コンピュータ、ネットワークとセンサ、人工知能、ロボティクス、3Dプリンティング、医療、ナノテクノロジー)によって実現するとされています。センサは、その指数関数的テクノロジーのひとつであるとともに、他の指数関数的テクノロジーにも組み込まれる重要な技術とされ、2020年代後半には、45兆個のセンサが必要と予測されています。

 MEMS Engineer Forumは2009年の第1回開催から、MEMSに関心を持つすべての研究者、技術者、さらには経営者が一堂に会する場として、世界各国から馳せ参じる講演者と参加者の間で、情報交換、議論を推進して来ました。MEMSに関連する、加工技術、デバイス、システム、アプリケーションのそれぞれに関わる参加者の間で、異なる技術の融合、異なる立場の協業、を意図して来ましたが、それが即ち、現在のIoTやオープン・イノベーション、プラットフォーム構築に繋がるものであったと言えるかと思います。ここ数年、MEMS Engineer Forumは、海外からの評価も高く、参加することによって、MEMSに関わる最新の情報を得られるベンチマークとしての存在になりつつあります。

 今年も、世界各国から、MEMSに関して大きな業績を上げて来た著名人、大学発や研究組織発のベンチャーの推進者、MEMSのトップメーカー、新進気鋭の大学人、先端技術企業、産学官の中心となる研究機関、業界団体代表者、調査会社が講演者に名を連ねます。一方、日本国内からは、内閣府をはじめとして、大学、研究組織、企業、金融機関を代表する方々から多数の講演を聴くことができます。

 最終日の午後には、上述のトリリオン・センサに関する最新の情報に関する講演が予定されております。また、例年通り、2日間のフォーラムを締めくくる「グランドフィナーレパネルディスカッション」では、米国から、1982年にMEMSのバイブルと言われる論文を発表しMEMSの神様と言われるKurt Petersen、Stanford大学教授としてMEMSに関わる研究開発から実用化を積極的に推進するThomas Kenny、California大学Davis校教授であるとともにベンチャーを創立したDavid Horsley、業界団体としてMEMSを強力に推進するMEMS & Sensors Industry GroupのKaren Lightman、欧州から、独Fraunhofer研究所のThomas Otto、仏CEA-Leti研究所のJulien Arcamone、フィンランド研究組織VTT発ベンチャーTikitin社のAarne Ojaの各位7名による議論が予定されています。事前に参加者から募る質問状への回答も含めて、活発な討論になると思われます。例年、参加者が大きな興奮を共有するこのパネルディスカッションですが、2013年の、センサを軸にした組織活動が必要であろうとの議論、2014年には、シリコンバレーの活発な起業活動モデルと、米国の他地域の試みや欧州の産学官連携との比較が議論され、2015年の討論では、産学連携を進める上での問題点に悩む日本の状況が、産学連携を当然の如く進めている米国や欧州にとっては驚きであるという落差が歴然としました。昨2016年は、Technology Commercializationについて、ベンチャーの人材育成と産学連携の観点から議論が進められました。今年は、どのような討論になるでしょうか。「IoT世界の中でMEMSをどのように位置づけるか」という点について、各位の見解が聞けるかも知れません。

 IoTの要となるMEMSセンサ技術をコアとして、半導体、パッケージング、ソフトウェア、センサネットワークシステム、アプリケーション、そしてユーザーが一体となる、真の意味でのオープン・イノベーションの場で、MEMSがその融合技術としての強みを十二分に発揮します。それによって、世の中の人々の幸せな生活を実現するイノベーションを起こすためのビジネスモデルを構築し、その成果と喜びを、参画者の間で分かち合うことを目指して、多くの皆さんがMEMS Engineer Forum 2017に参加されることを期待します。それが、日本の産業の復権の道筋となることと思います。

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