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2016 Vol.3 – R&D to Market

MEMS―技術開発から実用化へ

MEF 2016実行委員会 副委員長 / 東北大学 教授 マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC) センター長  江刺 正喜

 MEMS Engineer Forumの開催にあたり、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)が役に立つにはどうしたらよいか、自分がやってきた中で考えたことを述べたいと思います。これについて詳細は電気学会の座談会(日本語リンク英語リンク)を参考にしてください。

 MEMSはフォトリソグラフィを中心にした技術を用いて、Siウェハ上にセンサなどを製作するものです。売り上げは毎年13%の一定の割合で成長してきており、多様な技術を組み合わせて製作し、様々な分野で用いられています。LSIと大きく違う点は標準化しにくいことで、スマートフォンに使われる部品のように、安く大量に使われるMEMSもありますが、多くの種類は多品種・少量で開発がボトルネックになっています。

 

● 装置の自作とスリム化、中古設備の活用、共同利用の奨め

  開発がボトルネックなため、それを低コストで効率的に行なえる体制が必要です。筆者は45年前の1971年に東北大の電子工学科を卒業し、大学院に進学してISFET(Ion Sensitive FET)の研究を行いました (1980年にカテーテル型のpH、PCO2センサとして商品化され、逆流性食道炎の診断などに使われました)。この間試作設備を自作して20mm角のSiウェハを処理できる初期試作プロセスを整備しましたが、この設備は現在も多くの研究室で共同利用されています。130社程の企業が常駐研究者を派遣して、共同研究や人材育成、さらには商品化などをしてきました。産業化に貢献するには完成度を上げ、実際に動作するものを実現してみせることが大切ですが、これには一連の装置を使える試作環境が必要です。しかしそれを設置して維持するには小形でなければならず、単純で壊れにくい装置にしないと誰でも使える形にはなりませんし、全工程を経験した役に立つ人材を育てることはできません。人を派遣した企業からは300万円/年頂いておりましたが、毎年10社位来て頂いていたので20mm角の試作プロセスを維持するには十分でした。

 2009年から、仙台市の青葉台にある「西澤潤一記念研究センター」にマイクロシステム融合研究センター(μSIC)が設置されました。これは以前財団法人の半導体研究所が在ったところで、その建物には1800m2の大きなクリーンルームがあり、そこにはトーキン㈱(現在のNECトーキン㈱)からパワートランジスタ工場が移設してあり、これに加え、多くの企業から譲渡された中古設備が設置されています。これは4/6インチ用の施設で、「試作コインランドリ(英語ではHands-on Access Fabrication Facility)」(日本語リンク英語リンク)と呼ばれており、多くの企業(180社以上)に利用されています。使用料は一般よりも十分安いのですが、2014年の事業費17,400万円のうち、その65%を装置・施設使用料で賄うことができています。また2013年7月より、国や学内の調整を経て、ここでは製品製作もできるようになっています。しかしある程度の数ができあがった時に販売を考えるもので、最初から販売を目的にはできません。なぜなら複数の企業が装置を使っており、壊れたのを直しながら試作したりもするため、製造計画は立てられないためです。企業がプロジェクトを中止したときなどに装置類を移設し、担当者がスタートアップ会社を創ったり、大学や会社などを定年退職した後設備を持ち込んで研究や事業を続けている方も居られます。

 

● アウトソーシングしないで自分でやる

  「試作コインランドリ」は、試作開発設備を持たない企業などが、人を派遣して自分で試作を行うものです。開発のコストやリスクを軽減でき、実際の経験を持つ技術者が育ちます。経験を有する技術者が支援し、これまで大学に蓄積された知識やノーハウにアクセスすることができます。一般に半導体設備は高価ですが、新しい装置ですと修理をその装置メーカに依存すると、多額の費用が掛かります。このため中古の装置を複数用意しておき、自分で修理することを基本にすると、安く維持できます。これは必ずしも最先端製造装置でなくても良いMEMSの試作だからできることかもしれません。なお20mm角ウェハ用の初期試作プロセスの場合も、会社からの人たちは自分で装置を動かしておりました。企業の人達と一緒に実験するのは、研究室の学生の人たちにとっても良い刺激になり、成長につながったと思います。

  

● ニーズに応えて役立ち、評価よりも市場原理

 ニーズに応えて役立つように、何でも引き受ける中で、新しい経験を積んで世界を広げていくのが良いと思っています。高校生や大学生を対象としたiCAN (International Contest on Application of Nano-micro Technology) というコンテストを行っています。これは学生の人達が考える「こんなものが欲しい」という応用からの発想で、それを実現して競い合うものです。なお国際半導体技術ロードマップ ITRS (International Technology Roadmap for Semiconductors) も、今までのような微細化の技術課題よりも、応用分野を起点に半導体技術に何が求められているかを編集するように変わりつつあると聞いています。

 2005年よりドイツのフラウンホーファ研究機構と協定を結んで、「フラウンホーファ in 仙台」というシンポジウムを毎年開催しています。2012年より同機構のプロジェクトセンターが東北大に設置されて3人が常駐しています。この他ベルギーにあるiMEC (Interuniversity Micro Electronics Center)からお誘いがあり、米国のスタンフォード大学や欧州のEPFL(スイス ローザンヌ大学)と共に、アジアの戦略連携校になっています。iMECと東北大で交互に毎年公開シンポジウムを開催しています。iMECからは我々の研究室はComplimentaryだと言われていますが、自作の小規模な試作設備で、いろいろな事を簡単にやってみれることが喜ばれています。フラウンホーファ研究機構、iMEC共に、企業側を向いて役に立つことを重視しています。大学を含め我が国の多くの研究機関は、公的資金を求め、そのための評価を重視する傾向がありますが、これよりも役に立つことを重視する市場原理を大切にしていきたいものです。

 

 ● リアルな情報へのアクセスと、歴史を見て考える

役に立つ研究開発を行うには、多様な情報に効率よくアクセスできることが大切です。本MEF2016を主催する「MEMSパークコンソーシアム (MEMSPC)」は、2004年より仙台市を中心として活動しているものです。(日本語リンク英語リンク) 現在68社が入会しておりますが、年会費は5万円と安くなっていますので是非入会ください。これの活動としては、上記のiCANの他、毎年夏に3日間無料で行ってきた「MEMS集中講義」があります。今まで10回以上日本各地で開催してきましたが、今年は仙台(東北大)で8/3(水)~8/5(金)に、「MEMSエンジニア育成のための集中コース in 仙台」として開催されます。またMEMSのサンプルを100点以上集めてご覧いただける「仙台MEMSショールーム」 (日本語リンク英語リンク)も設置しました。

この他、歴史を見てこれからの方向を考えようという趣旨で「近代技術史博物館」を作ってありますが、今月リニューアルオープンしました。(日本語リンク英語リンク

 

 

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